RODEO HYDRAULICS の日常を、ゆるく、時にはツッコミを交えながら書いています。
作業中のハプニングや、クラシックアメ車ならではのクセ、「なんでこうなるんだ…」というアメ車あるある、そしてお客様とのやり取りや、ありがたい差し入れの話まで、工場の空気をそのまま感じていただけるブログです。
アメ車だけでなく、国産車や他ジャンルの車が登場することもありますが、どの車にも共通しているのは、“触っていて楽しい”“つい笑ってしまう” という RODEO らしい視点。
ちょっとした裏話やぼやきも含めて、気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。

2026/09/12(Sat)

時々ブログ         N様アストロ商談記パート9  続き~水路編

更新が少し空いてしまいました。
最近、大手企業の話ですが SNS疲れからブログへ回帰する動きがあり、
もちろん今までのSNS発信は続けつつも、
ブログを再開する例が増えているようです。

そして私は──
止まっている個人ブログやホームページの更新が
また動き出すのを密かに楽しみにしている派です。

写真だけでイメージさせるもの、
期間限定でしか見れないもの、
リアルタイム発信、
つぶやき系など、
SNSにはいろんな形がありますが……

「皆さんはどのSNSを見てます?」

「えっ!万葉集」
……それSNSじゃない。

さて気を取り直して、N様アストロ編いってみましょう。

もちろん、
もちのロンで4WDですのでフロントデフオイルも交換します!

もちのロンのロン!
エンジンオイルはまずフラッシングから行います。

これ、昔から賛否両論あって
「フラッシングは意味あるの?」
「やる派・やらない派」
きれいに分かれますよね。

当方でもオイル交換前に必ずお伺いしますが、
やらないという方には強引なおすすめはしませんのでご安心ください。
車の状態・使い方・オーナーさんの考え方で選んでいただくのが一番です。

【メーカー説明・効能】
1. 主な効果(特長)

頑固な汚れの除去
オイル交換だけでは落とせないスラッジ(泥状の汚れ)や
ワニス(焼き付いた油膜)をしっかり取り除きます。

エンジン保護性能
安価なフラッシングオイルと違い、摩耗防止性能が高く、
新油の性能をしっかり発揮できる状態に整えます。

2. 正しい使い方(使用方法)

暖機後に古いオイルをすべて抜く

「EF-OIL」を規定量の2/3以上(または規定量)入れる

20〜30分アイドリング

ドレンからEF-OILをすべて抜く

オイルエレメント(フィルター)は必ず新品に交換

新しいエンジンオイルを規定量入れる

【重要】
まさかフラッシングオイルのまま走行しちゃう方はいないと思いますが……
フラッシングオイルは“洗うためだけ”に作られたシャバシャバの液体です。

通常のエンジンオイルのような強固な油膜がありません。

つまり、
走行のような強い負荷かけると金属同士が生身で殴り合う
みたいな状態になります。

イェ〜イなんてアクセル全開踏んで負荷をかけたら、
エンジン内部がとんでもないことになってしまいます。

どうしてもそのような行為をしたい方は自己責任で楽しんでください。

先ほどの文集にも記載されていますが、
フラッシングをしたらオイルエレメントは必ず交換してください!

「えっ、なんで?」と思う方もいるかもしれません。

理由はシンプルで、
フラッシングで剥がれた汚れが全部エレメントに集まるからです。

フラッシングを終えてオイルを抜いても、
エレメントの中には 汚れたフラッシングオイルが残ったまま になります。

この状態で新しいオイルを入れてしまうと──

エンジンをかけた瞬間、
古いフラッシングオイル+キャッチされた汚れが新油に一気に混ざります。

その結果、

新油の寿命が短くなる

新油の性能が100%発揮できない

洗浄した意味が半減する

という残念な状態になります。

イメージ的にはお風呂で体洗って綺麗にしたのに、
直ぐ泥の中に入ってイェ~イ!ウェッサ~イとハンドサイン出してる状態に近いです。

そしてエンジンオイルは タフツーリング25W-50(TT-50) をチョイス!

「えっ!アストロの本来の指定粘度は5W-30だぞ!」
「何その硬いオイル入れてんだよ!」
と思われる方もいるでしょう。

アストロに限らず当店は古い車両にはこちらを推奨してます。

何でだよの方に!

はい、その時はメーカー説明を引用します。

25W-50(TT-50)のメリット
1. オイル下がり・オイル上がりの抑制(白煙・オイル消費の改善)
長年の走行でピストンリングやバルブステムシールが摩耗すると、
隙間からオイルが燃焼室に入り込み白煙やオイル食いが発生します。
TT-50の極厚油膜がその隙間を密封し、白煙やオイル消費を劇的に抑えます。

2. 「カチャカチャ・ドスドス」というメカニカルノイズの低減
経年劣化でクランクシャフト、ベアリング、油圧タペットなどのクリアランスが広がると
不快な打音が出やすくなります。
硬いオイルがクッションとなり、打音や振動を大幅に静かにします。

3. オイル滲み・漏れのスピードを遅くする
年式的にガスケットやゴムパッキンが硬化して滲みやすい車です。
硬いオイルはサラサラな指定オイルより外へ漏れ出すスピードを物理的に遅くします。

4. 夏場のタレ防止とコンプレッション(圧縮圧力)の回復
夏場の渋滞や長距離でも油膜が絶対に切れないため、熱ダレ(パワーダウン)を防ぎます。
また、シリンダーの気密性が高まり、抜けていたパワーやトルクが復活効果があります。

もちろんデメリットモあります

燃費を気にする方は確実に悪化するオイルが非常に硬いため、エンジン内部の引きずり抵抗が大きくなります。もともとアメ車は燃費が良い車ではありませんが、さらに燃費は落ちます。

冬場の始動性が悪くなる「25W」という粘度は、長野県の極寒の冬場(特に朝晩の冷え込み時)にはハチミツのように硬くなります。セルモーターの回りが重くなったり、始動直後にエンジン全体にオイルが行き渡るまで少し時間がかかったりするため、しっかりとした暖気運転が必要不可欠です。

ロンのロン!
ラジエターフラッシング剤を投入して、水路も綺麗にします!

「なんでって?」
冷却水の通り道(水路)にこびりついた 錆や水アカを溶かし落として、オーバーヒートを防ぐため です。

「えっ!本当に効果あるのかよ?」
と、パワハラ全開で言ってくる方には──メーカー説明を引用します。

メーカー引用(要点まとめ)
1. 水路の“目詰まり”を解消し、オーバーヒートを防ぐ
長年クーラントを交換していなかったり、水道水だけで補充されていた車は、
エンジン内部やラジエーターの細い管に
茶色い錆・白い水アカ(カルシウム成分) がこびりつきます。

これが限界に達すると水路が詰まり、
冷却水が循環しなくなり、夏場に一発でオーバーヒートします。

ラジエターフラッシュは、これらを 化学的に溶かして洗い流す 役割があります。

2. 本来の冷却性能を復活させる
錆や水アカは“断熱材”のようなもの。
水路の壁に数ミリ堆積するだけで、
エンジンの熱が冷却水に伝わらず、冷却効率がガタ落ちします。

洗浄して金属の地肌を露出させることで熱の伝わりが改善し、
水温が安定する といった効果が出ます。

3. ヒーターの効きを改善する
古いアメ車はヒーターコアに錆が溜まりやすく、
「暖房が異常に弱い」というトラブルが定番。

水路を掃除することで、
ヒーターの効きが改善・トラブル予防 に直結します。

最後にひと言
車両の症状によって効果が薄れる場合もありますので、
あくまで参考としてご覧くださいね。

後、綺麗になり過ぎて、
今まで錆や水アカで“ふさがれていた部分”が取れてしまい、
逆に水漏れを起こすこともあります。

当方でも実際にありました。
ラジエターを洗浄したら──

「あれ?穴開いちゃったよ……」

というケースが。

長年の汚れが“蓋”になっていた部分が、
洗浄によって本来の状態に戻ることで、
隠れていた劣化や穴が露出することがあります。

これはラジエターフラッシュの副作用というより、
車両側の経年劣化が表面化しただけ です。

なので、
「逆に水漏れが起きる可能性もゼロではない」
という点は、皆様に知っておいていただきたい部分です。


ラジエターフラッシュをしたら加圧循環洗浄してきます!

ラジエーターの加圧循環洗浄は、添加剤を入れるだけの洗浄に比べて「劇的に汚れが落ちる洗浄方法」です。
水道水と圧縮空気とのコンビで強い圧力で冷却水路に循環・逆流させることで、通常の水流ではビクともしない強固なサビやヘドロ状の汚れを物理的に削ぎ落とします。

アストロのラジエター加圧循環洗浄

ラジエターフラッシュ投入
化学洗浄剤で錆・水アカを浮かせる前処理。

ラジエターフラッシュを規定量投入

暖機して水路全体に行き渡らせる

錆・水アカを化学的に“ゆるめる”工程


古い冷却水を完全排出
汚れたクーラントと浮いた錆を一度すべて抜く。

ドレンから冷却水を全量排出

浮いた錆・水アカを一緒に排出

水路を“加圧洗浄の準備状態”にする


加圧循環洗浄スタート
強力洗浄
水道水+圧縮空気で水路を強力に循環・逆流させる。

水道水を送り込みながら圧縮空気を混入

冷却水路を“正流・逆流”で交互に洗浄

通常の水流では落ちない錆・ヘドロを物理的に剥がす


ヒーターコアの詰まり除去
暖房が効かない原因の細い管を徹底洗浄。

ヒーターコアへ重点的に圧力をかける

細い管に詰まった錆の塊を押し流す

暖房の効きが改善しやすい


化学洗浄剤の完全除去
成分が残るとアルミ腐食の原因になるため重要。

加圧循環で真水を大量に通す

ラジエターフラッシュの成分を100%押し流す

DIYでは絶対に到達できない“完全すすぎ”状態にする


エンジンブロック内部の錆排出
鉄ブロック内部の沈殿物までまとめて除去。

ラジエターだけでなくエンジン側も循環洗浄

長年溜まった錆・沈殿物を物理的に排出

冷却効率が大幅に改善

最初に冷却水を抜いたときは、
このような汚れがドバッと出てきました。

長年の錆や水アカ、ヘドロ状の沈殿物が水路の中に溜まっていた証拠です。
これが水路を塞ぎ、ヒーターの効きが悪くなったり、
夏場のオーバーヒートの原因になったりします。

「こんなのが中に詰まってたのかよ…」と驚かれる方も多いですが──
これは序の口です。

もっと物凄いの、
引くぐらい凄いのが出てくる車もあります。

古いアメ車では珍しくありません。

ガンガン出します!
加圧循環洗浄で、冷却水路の奥に潜んでいた汚れを徹底的に吐き出させます。

そして──
エンジンブロックの水抜きドレインからも排出させます!

ここは鉄ブロックの“底”にあたる部分で、
長年の錆や沈殿物が溜まりやすい場所です。

ラジエター側だけ洗っても、
このブロック側の汚れが残っていると
またすぐに水路へ逆流してしまいます。

だからこそ、
ブロックのドレインを開けて“本丸”の汚れを出すのが重要かと思っております。

えっ!綺麗にしたバルブカバーに錆水が噴射してる・・・
そう、リスクもあります!
部品が破裂・破損して「即、水漏れ」するリスク(最大のリスク)現代の新しい車なら耐えられる圧力でも、N様のアストロは製造から27年近く経ったアストロ、冷却パーツ(経年劣化したプラスチック、ゴムホース、アルミ製ヒーターコア)にとっては過酷な負荷となります。最悪の場合、マシンの圧力に耐えきれず、作業中にパーツが破裂して冷却水が噴き出すことがあります。
そう!パティーの始まりの演出みたいにね!

見づらいですが、
インマニからヒーターコントロールバルブへ向かうホースに、
昆虫の触角くらいの小さな穴 が空いていました!

こういう“耐えきれずに吹き出しちゃう部分”が出てくるのも、
加圧循環洗浄では珍しくありません。

でもこれは、
早かれ遅かれ劣化していた部分が表面化しただけ。
発見できて本当に良かったと思います。

「えっ〜やり過ぎたんじゃないの?」
と思う方もいるでしょう。

しかし正直なところ──
納車前の車両には、かなり色んな負荷をかけます。

ぶっ壊すためじゃありません。
不具合を発見するためです。

コンプライアンス?
パワハラ?
強引?
イケイケ?
どれも間違ってないですが、
一番伝わるのは “スパルタ的” という表現でしょう。

なぜそんなことをするのか?
理由は簡単で、
そこまでしないと見つからない不具合が盛りだくさんだから。

実際、また別の機会に記事にしたいのですが──
納車前のスパルタチェックで、
エンジンが「不調」どころか
オーバーホールが必要な症状 が出たこともあります。

でもそれを納車前に気づけたのは、
本当に良かったと思っています。

そこからは、
お店側とオーナー側でじっくり話し合い、
一番良い方法を選ぶべきです。

この辺はまた記事にしたいところですが、
在庫車だから対応できること、
注文車両・持ち込み依頼では対応が変わることなど、
色々と事情があります。

もちろん新品に交換します。

加圧洗浄にはなんとか耐えていたヒーターコントロールバルブですが、
ガン見点検の際に 一部分の滲み を確認していたため、交換いたします。

加圧循環の圧力には耐えても、
経年劣化しているパーツはその後の点検で“本性”を見せることがあります。

今回のように、
洗浄の負荷で弱っていた部分が表面化するのは珍しくありません。

新品ヒーターバルブに交換です!

サーモハウジングに、
サーモスタッドも 新しい物に交換!

うん?交換?

そうです。
私は──

ただのチェンジニアです!

チェンジニア精神、今日も全開〜。

古いサーモは開きが遅かったり、
開度が不安定だったり、
最悪固着して水温が暴れたりします。

だから、
冷却系を触ったらサーモはセットで交換。
これはチェンジニアの基本精神。

「外して、状態読んで、理由を説明して、再発しないように組む」
この3つができてこそチェンジニア。

……なんですが、
只の交換マンと呼ばれてもしょうがないです!

ラジエターキャップも──
ご心配なく 交換マンしております!

冷却系を触ったら、
キャップの圧力管理はめちゃくちゃ重要。

古いキャップは

圧力が抜ける

密閉できない

沸点が下がる

水温が安定しない

など、地味だけど致命的なトラブルの原因になります。

交換という単純作業の裏には、
「壊れる前に予防する」というチェンジニア精神がちゃんとあります。

交換マンと言われてもいい。
でもその交換には、
車の未来を守るための判断が詰まっている。

だから、
交換マンは今日も交換を楽しんでいる……。