RODEO HYDRAULICS の日常を、ゆるく、時にはツッコミを交えながら書いています。
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ちょっとした裏話やぼやきも含めて、気軽に楽しんでいただければ嬉しいです。

2026/10/22(Thu)

時々ブログ    Tさん 1992 D21        パート7

エアコンが効かないとの事で
こちらも「一体どうなっちゃってるのか?」とガン見しながら診断開始です。

ガスはほぼ空っぽ。

当然コンプレッサーも作動しません。

まずは真空引きを行い、システムに大きな漏れが無いかを確認していきます。

ところが真空ポンプを回し始めた瞬間、排気口から白い煙のようなものがモクモクと立ち上がり始めました。

その様子はまるでミリタリー映画で地上部隊がヘリコプターへ合図を送る発煙筒状態。

思わず

「何事だ!?」

と真空ポンプを二度見するレベルです。

長期間放置車両だったため、システム内に残っていた水分なのか、真空ポンプオイルのミストなのかは断定できませんが、とにかく凄い勢いでモクモク上がってきます。

これだけの排気を見ると、このエアコンシステムが長い眠りについていた事だけは間違いなさそうです。

慌てても仕方ありません。

まずは十分な時間を掛けて真空乾燥を実施。

真空引きを終え、しばらく放置して漏れチェック。

「さぁどうだ?」

とゲージを確認してみると・・・

おや?

完全真空まで引いたはずのメーターが、しっかり戻っているじゃありませんか。

どうやらどこかで外気を吸っている様子。

発煙筒騒ぎの次は漏れ探しゲームの開幕です。

エアコンが効かない原因は単なるガス不足ではなく、どこかに漏れ箇所が潜んでいる事がほぼ確定。

ここからは冷媒回路を一つずつ追いながら犯人探しを進めていきます。

は!ガス入れないで何行き成りばらしてんだと思われる方もいるでしょうが、エアコン修理と言うと、とりあえずガスを入れて様子を見る作業と思われがちですが、交換マンはそんな楽な道は選びません。

真空保持テストの結果、漏れがある事が判明。

しかも真空引き開始時には発煙筒かと思うほど白煙がモクモクと上がってきました。

こうなるとガスチャージをしても、どうせまた回収して配管を外す事になる可能性があります。

そこでガスを入れる前に、高圧・低圧配管を取り外し先ず洗浄を実施。

長年使用されたエアコンシステム内部には、古いオイルや汚れ、そして水分などが残っている場合があります。

外から見れば綺麗な配管でも、中には何十年分もの歴史が詰まっている訳です。

今回も洗浄液を流してみると、とても「綺麗です」とは言えない状態。

えっ!?

最近流行りのパルス機能付き最新フラッシングマシンじゃないのかって?

はい、ありません(笑)

今回も交換マンお得意の原始的洗浄工法です。

洗浄タンクに洗浄液を入れ、エアーを繋いでバーバーバーッと音を立てながら内部を洗浄!


THE昭和な器具でコンデンサーも内部もバーバー洗浄

汚れもガン見!
遠回りに見えても、こういう下準備が後々の冷え方やトラブル防止に大きく影響してきます。

エアコンコンプレッサーも摘出です!

えっ!?

また交換マンが何か外して遊んでるって?

違います

遊んでいるのではありません。

このコンプレッサーの腹の中にオイルが残っているのか確認したいんです。

ガス漏れ修理で見落としがちですが、オイル不足はコンプレッサーを壊す原因になります。

なので交換マン、ガスより先に中身を確認。

人間も健康診断が大事ですが、コンプレッサーも健康診断が大事です。

さて、長年頑張ってきたコンプレッサー

果たして中にはオイルが残っているのでしょうか?

コンプレッサーからオイルを排出!

えっ!?

黒い容器にオイル入れても量も汚れ具合も全然分からないじゃんって?

はい、その通りです(笑)

えっ!?

なんで最初から紙コップに入れないんだって?

いやいや、そんな都合良く紙コップへ一直線には出てくれません。

まずは受けやすい容器へ一旦回収。

その後、紙コップへ移して量と汚れ具合をガン見します。

そして出てきたオイルがこちら。

う~ん・・・。

オイルの量も気になりますが、それ以上に気になるのが中に混じった黒い異物たち。

長年使われてきたコンプレッサーの歴史が、しっかり沈殿しておりました。

紙コップを覗き込んでいると、何故か小学生の頃の理科の授業を思い出します。

顕微鏡で池の水や葉っぱを観察していたあの頃です。

しかし今回はミジンコではありません。

異物です!

134にコンバージョンなんかしないでR12のまま行きますよ!

何故って?

R12の代替ガスがあるんですよね。

えっ!?

ガス代高いんじゃないのって?

確かにOG物のR12は高価に取引されている物もありますよね。

ですが今ではR12代替ガスがありますので、R134aと比べてビックリするほど大きな差がある訳ではありません。

そして何より交換マンがR12を選ぶ理由。

時々ブログをご覧いただいている方の中には、昔のR12エアコンを体感された方も多いと思います。

そうなんです。

R12って冷えるんです。

体感的にも冷え始めが早く、より低い温度まで到達しやすいんですよね。

えっ!?

誰が決めたんだって?

交換マンが決めた訳ではありませんよ

昔お世話になった電装屋さんから教わりましたが、冷凍能力や熱交換特性については昔から色々なメーカーや研究機関で検証され続けている話なんだそうです。

もちろん環境問題など様々な理由で現在はR134aへ移行していますが、純粋に冷えだけで勝負するならR12の実力は今でも大したものです。

だから今回もコンバージョンはせず、R12代替ガスを使って当時の冷えを目指します。

R12用コンプレッサーオイルを用意。

先ほどのラベル画像に記載されているオイル量を基準に分配していきます。

えっ!?

コンプレッサーに入れるだけじゃないのかって?

もちろんコンプレッサーにも入れます。

でも交換マン、全部をコンプレッサーへドボドボ入れるような事はしません。

エアコンオイルはシステム全体を冷媒と一緒に循環しているため、コンプレッサーだけではなくコンデンサー側にも適正量を分配します。

えっ!?

ラベルに200ccって書いてあるんだから全部コンプレッサーに入れれば良いんじゃないのかって?

確かにそう思いますよね。

ですがエアコンオイルはコンプレッサーの中だけで使われるものではありません。

運転が始まれば冷媒と一緒にシステム全体を循環し、コンデンサーや配管、エバポレーターなどにも分散していきます。

そのため洗浄によってコンデンサーや配管内のオイルを取り除いた状態で、全量をコンプレッサーへ投入してしまうとシステム全体のバランスが崩れてしまいます。

せっかく内部洗浄したのに、オイルの入れ方を間違えてしまったら元も子もありません。

まずはコンプレッサー内部へしっかりオイルを馴染ませます。

そして洗浄したコンデンサー側にも適正量を補給。

長年頑張ってきたエアコンシステムに、久しぶりの栄養補給です。

あっ!そう言えばエバポレーターは今回洗浄しておりません。

えっ!?

そこが一番汚れてるんじゃないのかって?

確かにその可能性はあります。

しかしこの車両はエキスパンションバルブがエバポレーターのすぐ近くに配置されており、そこへ到達するにはかなり奥まで分解していく必要があります。

さらにエキスパンションバルブへ洗浄剤を通してしまうと、内部の微細な通路や可動部分へ異物を運んでしまったり、動作不良を引き起こす原因になるため、基本的にエキパンを装着したままの洗浄は行いません。

つまり洗浄するならエキパンを外してから。

洗浄しないなら現状維持。

中途半端が一番良くありません。

又「何言ってんだよ」と思う方は、行きつけの電装屋さんや通ってるショップさんへ聞いてみてください

そこで今回はTさんと相談した結果、まずは最低限必要な整備を行い、実際の冷え具合やシステムの状態を確認する事を優先しました。

もし今回の作業結果で問題が残るようであれば、その時点でエバポレーターを含めたシステム全体の交換やオーバーホールを検討する作戦です。

何でもかんでも最初から全部交換。

そんな予算無限大仕様も良いですが、

まずは出来る事を確実に。

そして結果を見ながら次の一手を考える。

遠回りに見えるかもしれませんが、旧車修理は部品交換大会ではなく診断の積み重ねも大事ですね。

配管のオーリングは、もちのロンで交換します。

えっ!?

その緑色のOリングって134a用じゃないのかって?

はい、そのツッコミ正解です(笑)

でもR12に使って大丈夫なのかと思われますよね。

答えは

「問題ありません」

です。

元々R12時代は黒色のNBR系Oリングが主流でしたが、現在流通している緑色のHNBR製Oリングは耐熱性・耐冷媒性・耐久性が向上しており、R134aだけではなくR12やR12代替ガスにも問題なく使用できます。

交換マン確認済みです!

えっ!?

それ本当かよって?

誰に聞いたのって?

電装屋さんのエアコン修理業者です。

修理時には緑色のHNBR製Oリングへ交換する事が一般的です。

むしろ何十年も前の黒色Oリングを再使用する方が心配になります。

ゴムですからね。

と交換マンも激しく同意!

人間と同じで歳を取れば硬くなり・・・

柔らかくもなる?

うん?

どこが?

そんな事はどうでも良い!

危ない話が脱線する5秒前です(笑)

え~と、

見た目は何ともなくても圧力が掛かった瞬間に漏れが再発なんて話も珍しくありません。

せっかく真空引きを行い、

漏れ確認をして、

配管を外し、

内部洗浄までしているのです。

ここでケチって古いOリングを再利用してしまったら今までの苦労が台無しです。

という事で交換マン、

今回もOリングは全数交換。

見えない部分ですが、こういう地味な作業が後々の安心に繋がるんですよね。

エアコンコンプレッサーと配管も元通りに組み付け。

いよいよ蛍光剤を注入してガン見体制に入ります!

えっ!?

そんな大げさなって?

いやいや、旧車エアコンは漏れとの戦いですからね(笑)

因みに今回使用した蛍光剤ですが、いつもの部品商さんへお願いしたところ

「1箱単位でお願いします」

との事。

そんなに使いません(笑)

何とか1本だけ確保して無事注入完了です。

えっ!?

R12用の蛍光剤?

134a用と何が違うんだって?

実は蛍光剤そのものよりも、一緒に混ぜられているオイルの種類が違う場合があります。

R12は鉱物油。

R134aはPAGオイルやPOEオイル。

エアコンシステム内部ではオイルも冷媒と一緒に循環するため、出来るだけ使用しているシステムに適した物を選びたいところです。

えっ!?
じゃあ134a用を入れたら爆発するのかって?
そんな事はありません

実は、今回用意したこのFJCの蛍光剤のように、R12(鉱物油)にも134a(PAG)にも両方使える「ユニバーサルタイプ」というお利口な製品が存在します。

R134a専用の蛍光剤(PAGオイル混じりのもの)をR12使用の車に入れてしまうとオイルが喧嘩してしまいますが、これならR12の鉱物油に混ざってもシステムを傷めません。

交換マンとしては、
せっかくR12システムを維持するなら、使用する蛍光剤も「ちゃんとR12(鉱物油)に対応しているもの」をしっかり選びたい。
ただそれだけです。

……あ、そうそう。ガン見体制に入るその前に!
新たに真空引きを行って、まずは根本的な漏れが無いかきっちり確認していきますよ。

それでは、次回。
いよいよ運命のガスチャージ&漏れチェック編へ……
続く